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研究案内 療育介入研究

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ペアレントトレーニング

 当センターでは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の子どもを対象にしたペアレントトレーニング、PTSS(The modified Parent Training of Smaller groups and Shorter schedules (PTSS))を実施しています。PTSSでは、就学前から小学校中学年までの発達障害のうち、特に、ASDをもつ子どもの親を対象に実施しています。グループは、3~4家族程度の小グループで編成し、回数も6回と短縮して行っています。ここでは、回数を短縮することで、早期発見から実際の支援開始までの待機時間を減じ、参加人数を少人数にすることで、子どもの特性や問題行動に配慮したグループ分けを行うことが可能となっています。ASDの子どもたちに、PTSSが最適であるがどうかについて、他の方法と比較した検証はこれからですが、PTSSの実施前後の検討では、きわめて有効であるという結果を得ています(Okuno et al, B&D, 2011)。


ソーシャルスキルトレーニング

 当センターでは、2009年度より自閉症スペクトラム障害(ASD)の小学生を対象に集団によるソーシャルスキルトレーニングであるわくわくチャレンジクラブを実施しています。5名程度の少人数での実施、および養育者のソーシャルスキルに関する勉強会を並行していることが特徴です。これまでの研究では、学校におけるコミュニケーション行動の増加が確認されています。また、養育者の子育てに対する自信や家族機能に対する効果も見られています(Okuno et al,2016)。現在は、より効果的なソーシャルスキルグループの運営法に関する検討を行っています。


ティーチャートレーニング

 当研究室では、インクルーシブ教育に関わる教師支援の方法としてティーチャートレーニング研究を行っております。ティーチャートレーニングとは、行動療法に基づくプログラムで、学校生活の中で気になる児童生徒を担当する教師向けに、国内外の学校でも実践的に活用されています。当研究科でも、対面式、TV会議式トレーニングなどの介入結果として、教師の自信度や子どもの行動問題改善の効果を確認しております(Ishii et al, 2020; 石井ら, 2020)。現在は、学校現場でより実践しやすい介入方法の改善を続けております。


安心感の輪

 対人関係およびコミュニケーションの課題を持つ自閉症スペクトラム障害(ASD)児において,養育者との間で安定したアタッチメント関係を構築していくことは,子どもの心身の発達とともに養育者の親性の発達において重要といえます。ASD児も他の大人よりも養育者に対して,より多くのアタッチメント行動を示すことは知られていますが,その行動の表現や機能が異なる可能性があるため,わかりにくいことがあるかもしれません。したがって養育者がその行動への理解を深め,関わることが重要といえます。「安心感の輪」子育てプログラム(Circle of Security Parenting Program; COS-P)は,アタッチメント理論に基づいた子育て支援の取り組みの一つとして注目されています。これは,子どものアタッチメント行動や養育者自身のアタッチメントに関連した物事の受け取り方や感情の動き方の特徴についての理解を深めることを通して,親子の関係のあり方を考える関係性支援に焦点をあてた心理教育プログラムです。本プログラムをASD児の養育者に実施することを通して,養育者の子ども理解の変容を検証しています。